お米で育つむなかた牛 すすき牧場は未利用資源の活用で地域に貢献
お米で育つ「むなかた牛」
すすき牧場は未利用資源の活用で地域に貢献
あなたは「むなかた牛」という牛肉を知っていますか。
九州は福岡県にすすき牧場が育てた「むなかた牛」というブランドの牛肉があります。
安全な牛肉をあなたに届けるため、牛の健康を第一に考え育てている牧場です。
この記事はすすき牧場のプロモーションなのですが、私には初めて聞くブランド名でした。
調べていくと健康な牛を育てるのに試行錯誤しているのがわかります。
どうして牛の健康を第一に考えるのでしょうか。
「安全な牛肉は健康な牛から。健康な牛は安全なエサから。安全なエサは地元から。」
すすき牧場と薄 一郎氏の理念からの行動になります。
むなかた牛とは
むなかた牛は福岡県宗像市にある「すすき牧場」で生産されている牛肉で、すすき牧場の独自ブランドになります。
牛の品種は和牛とホルスタインをかけあわせた交雑牛を選択。しっかりとした赤身の肉々しい旨味、あっさりとした脂、柔らかく歯切れの良い食感が特徴です。
購入できるのは宗像市の直販所、オンラインショップ、ふるさと納税の返礼品等になります。
こだわりの飼料
すすき牧場は地元九州の米生産者さんと契約栽培した飼料米を、穂のついたまま刈り取り乳酸発酵させた粗飼料、地元食品製造さんから発生するおからや酒粕などの副産物を活用した濃厚飼料で育てています。
サスティナブル
食品製造で発生する副産物の大部分は廃棄されますが、飼料として活用することで廃棄物を地域の未利用資源として掘り起こし食のサイクルに貢献しています。
牛の健康保全
牛の飼育環境とエサの健全化を追求することは、やがて口にする私たちの健康に直結するものとすすき牧場は考え、牛の健康を第一に育てています。
飼料には
草食動物の主食としての粗飼料と、我々が食するための肉質をよくする濃厚飼料があります。
粗飼料(そしりょう)
地元九州の米生産者さんに栽培してもらい、サイレージにして乳酸発酵させたのを与えています。
畑にロールのラップぐるぐる巻きを見たことはありませんか。あれがサイレージです。昔は牧場にサイロの塔が建っていてシンボルにもなっていました。塔の上から稲藁などを落とし込むと納豆と同じ原理で藁についた乳酸菌が発酵していきます。今では手間のかかるサイロから簡易なラップでの発酵方法に変わってきています。
牛にとっては完全に乾いた干し草よりも、湿っていて乳酸菌による発酵で美味しくなったサイレージの方が食べやすいようです。
濃厚飼料(のうこうしりょう)
私達が食べている肉とは筋肉をさしますが、濃厚飼料はタンパク質や炭水化物が豊富で筋肉の成長を促す栄養になります。
すすき牧場では食品の製造過程で出てしまうおからや酒粕などの廃棄物を配合しています。
廃棄物の処理を相談されて試しに牛に与えてみると食いつきがよくなり、結果的に肉質の向上へとつながりました。
BSE問題
1986年に英国で初めて報告された牛の病気、BSEが世界中で報告されてきます。
BSE(牛海綿状脳症)とは牛の脳がスポンジ状になり異常をきたすものです。
食肉になるときに発生する肉片や骨などの残さを乾燥・粉末にしたのを「肉骨粉」といい、製造過程でBSEを発症した家畜の肉が混入して広まったとされています。
それを与えられた家畜の脳に変異体が蓄積して世界中でBSEの連鎖が起きました。
食の安全
薄 一郎氏は考えます。そもそも草食動物に動物由来の肉骨粉を与えていいものだろうか。やがて私達の口に入るのに。私は我が子に自信を持って食べさせられる牛を育ててきたのだろうか。見直そう。安全な牛肉を皆に届けるためには、健康な牛を育てることにあると。
粗飼料国内生産率
粗飼料の国内生産率は76%、残りは輸入になります。お米が主食なのに稲藁を輸入しているのが不思議に感じますが、藁をロールにする機械が1000万円程しますのでお米農家さんが自前で調達できないなどの事情があります。農林水産省は稲藁を粗飼料として有効活用を推進していますが、廃棄したい人と欲しい人がなかなかマッチングしないのが現状のようです。
濃厚飼料国内生産率
濃厚飼料は完全に輸入に頼っていると言っても過言ではなく、国内生産率は13%しかありません。農林水産省も食品製造副産物や余剰食品、調理の残さ、規格外農産物などを濃厚飼料に加工できないものかと試行錯誤していますが、水分の多い食品を脱水などをして飼料用に加工するプラントの設置やコストがネックになっているようです。
すすき牧場では
粗飼料は契約米農家さん、濃厚飼料は地元の食品製造元さんからの調達で国産使用率50%になります。濃厚飼料の国内生産率13%を考えると自社での国産使用率50%は驚くべきところです。
地域貢献
牛の健康を考えていくと地域にも貢献していくことになりました。牛の糞が堆肥になり農家さんに使ってもらい作物ができる。牛が食し排泄する。また食品廃棄物を活用することで地域に眠っていた未利用資源の発掘になりました。食のサイクルに成功した事例です。
まとめ
むなかた牛のキャッチフレーズは「お米で育てたむなかた牛」
稲の穂から茎まで全部を乳酸発酵させた藁と、おからや酒粕などを自社配合して育てています。
元をただせば、おからは大豆ですし酒粕は米と麹です。地元の生産者さんから取り寄せていて、すすき牧場は身元のはっきりしたエサで牛を育てています。
牛の健康を第一に考え行動すると地域の廃棄物の資源化と堆肥と作物のサイクルを作り、結果的に地域に根差した持続可能な食のサイクルを生み出すことにもになりました。
2015年に商標登録された新しいブランド「むなかた牛」は、霜降りとは違う赤身の美味しい肉として評判を得ています。
肉より魚世代の「霜降りのお肉はちょっと…胃にもたれしそうで。」という方々にもおススメなあっさりお肉になりますし、肉肉肉世代には「うまい。もうないの?」と好評です。
むなかた牛は宗像市の直販所以外にもオンラインショップやふるさと納税の返礼品等でもお取り寄せいただけます。
「安全な牛肉は健康な牛から。健康な牛は安全なエサから。安全なエサは地元から。」
すすき牧場と薄 一郎氏の理念であります。
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